私どもの料理スタッフを連れて表記の明治8年創業の老舗料亭を訪問。少しでも一流の技に触れてもらい自社の料理のクオリティーアップの為に定期的に行なう研修会である。全員がネクタイとスーツでドレスアップして心斎橋の大丸北館(旧そごう心斎橋店)の表記の店に向かう。
昔は宗右衛門町に 能舞台のある巨大な料亭があってその地下にオーセンティックなバーがあって大人の社交場にないな感じだったことを覚えている。
百貨店の13階にあるお店はまんま料亭の空気を醸し出しているファザードである。個室に案内いただき食事開始。キリンラガーで乾杯をする。座付きは前菜で熨斗の形をした紅葉の柄の蓋物。
ふたを開けるとこれまた秋の景色が満載。烏賊の焼き霜は長芋とともにかぼすの器に入れられて梅麹のドレッシングがかかる。蟹の小袖寿司と大黒しめじの山椒焼き、紅葉人参に真昆布を戻して木の葉にカットしてカラメルをかけて焼いた菊葉昆布。松笠の形をしたポテトに菊大根。
どれも細やかでかなりの手間がかかった仕事ぶりである。
みんなで「おいしいねえ」と いいながら食す。
吸い物代わりは茶碗蒸し。トロトロの生地に鰹出汁がかけられてフカヒレとトリュッフと生雲丹の競演。鰹出汁とトリュフの組み合わせは初めて。
日本酒は菊正宗。。料理のじゃまをしない辛口の酒。
お造りはともにレアに火入れされた車エビとホタテ貝柱。かかっているソースは豆腐を麦味噌につけ込んで発酵させた豆腐味噌に山葵を練り込んでつくられた山葵クリーム。いいコクがあって美味しい。このお店では通常1年は寝かすらしい。自然に豆腐が溶けて味噌となじむと料理長がおっしゃられていた。
お椀は四君子。蘭・竹・梅・菊が豪快に描かれている。南地大和屋の時代から使っている古物の輪島塗。見ただけで上質なのはわかる。木製品なんだけどプラスティックのように軽い。取り扱い注意。
中をあけるとこんな感じ。これも名物菊蕪。南地大和屋の時代の鈴木料理長のスペシャリティ。この店の方もこの料理を実際に見るのは年に2、3回と言っていた。私どもの為に桜井料理長が特別に作って頂いたようである。見た目は完全に厚物の白菊。ここまで細やかに蕪を包丁し、形を崩さず真っ白に柔らかに炊き上げるのは至難の技。中にはジューシーな鶏団子が鋳込まれている。
これも名物の甘鯛の松皮焼きはかなり大きなサイズの白甘鯛を塩水に着けて一夜干しにして旨味を凝縮。そのあと皮目に熱した油をかけてうろこを立たせてそれを丁寧に焼き上げる。火入れの加減が完璧でうっとりするくらい旨い。天上昆布も柔らかく炊き上げられて旨い。
鯖の生ずしは青森産らしい。しっかりと締められている。付け合わせはみょうがの酢漬けとほうれん草、タマネギおろし。レモン酢にてさっぱりと頂く。
食事は銀杏ご飯と赤出し。銀杏ご飯は唐墨の粉が振られている。。まるでイタリアンのパスタのよう。若手社員お代わりしまくり。
デセールはこれも名物のドロドロした濃いぜんざいとバルサミコソースのかかった梨。これで料理代金10000円なり。いいお勉強をさせて頂きました。。社員君たちも大喜びでした。