11月末に西天満にオープンした表記のお店を訪問。食べログ、ぐるなびを含め現在お店の全く情報は世間に出ていない。お店の紹介も多分このブログが初めてだと思う。
女性店主の中村明美さんは豊中の「一汁ニ菜 うえの」ミナミの「本多」などの名店で修行をされこの度、日本料理激戦区の西天満の路地にお店を出された。小さな看板とのれんだけのファザードは知らなかったら通り過ぎてしまうデザイン。数寄屋造りの店内はカウンタ−8席のみ。聚落の壁や網代に編んだ天井などしっかりと作り込まれた店内にクラッシックピアノのBGMがいい空気を醸し出す。金色のソムリエバッチを付けたサービスの方が数名在籍。
料理は現在お任せ1万円のみ。今後はレパートリーを増やされていくと思われる。この日は某百貨店部長と大阪No.1焼肉店マダム、市内高級日本料理店勤務の若い女性2名で貸し切り新年会。
座付きは胡麻豆腐の淡路の地雲丹を載せたもの。出汁に生のりを合わせる。雲丹の味もすっきりしていてスルスルと喉を通る。
小柄な女性店主が大きな刺身包丁を使って魚を切る作業は見ていて興味深い。仕事はとても丁寧だけど女性特有のチマチマ感がないのがいい。店内のカウンターバックには錫作家さんの鈍く光る渋いアートが飾られる。
ソムリエさんお薦めの石鎚の純米吟醸中汲みを所望。辛すぎず食中酒にぴったりの誰が飲んでも美味しいと思えるようなバランスのいい旨味のしっかりとしたお酒。
刺身は明石の鯛と剣先烏賊。あしらえは拍子に切った大根と芽萱草、茗荷に紅たで。醤油と特製の酢橘塩でいただく。器も盛りつけも美しい。
正月らしい黒塗りの煮物椀登場。
鯛が描かれた蓋の裏は総金箔が張られていてまさに「お目出たい」感じ。
お椀の中身は柔らかく炊き込まれた丸大根と水菜。出汁は河豚の骨で取っているとのこと。大根との相性を考えて出汁は少し濃いめ。飾り切りの人参の梅の花が可愛らしい。
八寸は平目の昆布締めに赤大根の土佐酢和え。上にはチシャ軸の味噌漬けが添えられる。ボケの花の横には金柑の甘露煮とノドグロの蕎麦米焼き。つぼつぼの器には剣先烏賊の耳の塩辛。ランプ肉のローストビーフ。
大王松の葉に刺された黒豆とずわい蟹とチーズの松風、中に黄身餡を鋳込んだ百合根饅頭。割り山椒の器にはアサツキの新芽とくらげの酢味噌和えなど。どれも手の込んだ繊細なものばかりでこれだけでお酒が5合くらい飲めそうな感じ。
唐墨を餅で挟んで焼き込んだ唐墨餅。もうひと味欲しいところ・・・
大振りの国産の伊勢海老を目の前でカットして具足煮で提供いただく。活海老なのでレアな火入れがポイント。プリプリしてとても美味しい。ロブスターやオマールとは完全に味の異なりがある。あしらえは海老芋と慈姑団子のフリット。
海老の味噌をベースとした煮汁だけど海老の癖が全面に出てパンチがありすぎな感じだけどこれは好みの問題。知り合いのフレンチのシェフならこの素材をどう使うかなと想像しながら食す。伊勢海老は生よりも火入れしてこそ価値があるといつも食すたびに思う。
〆は土鍋で牛蒡と三度豆のご飯。こういった地味な感じの野菜の炊き込み御飯が大好き。塩梅も良くて周りの若い女性はお替わりしまくりちえ子状態。
器のセンスも良くて何を食しても美味しい。
デセールは和三盆と酒粕のジェラート。蓋付きの器で供される。
最後に記念撮影をして終了。ワイワイ和やかにあっという間の3時間でした。1年後には予約の取れない店になっているのは必至。料理を作る方、もてなす方の「美味しく食べてもらおう」という一生懸命さがしっかりと伝わりとてもいい気分で店を出ました。
帰りは皆で近くのエルクコーヒーで夜珈琲。普段2件目はワインとかウイスキーとか飲むのが常だけどノンアルコールもたまにはいい。65℃で抽出したぬるい超深入り珈琲を添えられたビターチョコレートといっしょにいただく。こんな日もたまにはいい。
北区西天満4-5-25
06-7506-8218
17:00~22:00
日祝休み