四天王寺夕陽ケ丘駅3番出口から徒歩1分。熟れた庶民的な雰囲気とご主人のキャラが大好きで季節ごとに訪問している寿司店。とても几帳面な方で昼間はいつも店の掃除をされている。店内はカウンタ−10席のみ。最近は大人気でなかなか席が取れないことが多い。日曜日はネタが少ないけど予約は比較的狙い目。
最初はいつもの通り徳島産の蒸し鮑。大振りにカットしたものを一口でいただくと口の中に独特の旨味が広がる。肝も秀逸。藻塩を少し付けてからいただく。夏に済州島に行ったときに養殖のアワビを食べたら肝は食用禁止と言っていた。養殖場の衛生状態が悪いために水銀だらけらしい。身も生食出来るものは限られていて中国人観光客は気にしないので高価で売れまくると言っていた。
続いてセロリと剣イカの足の和え物はさっぱり(さ〜パリに行こう!)軽く霜降りされた牡蠣は最近よく見る仙鳳趾のもの。身はしっかりと締まっていてプリプリの食感で甘味も強くて濃厚な味。
和和和という純米吟醸美山錦のひやおろしを所望する。特有の芳醇でふっくらとした丸みのある味わいはこのお店の食事にとてもよく合う。トコブシの煮付けは鮑と違ってさっくりとした歯切れのいい食感で、同じような貝でもここまで味の異なりがあるのかとビックリ。
ピンピンに光る秋刀魚はスタンダードに塩焼きにしてもらう。遅きに失した感があるが今季初の秋刀魚に舌が喜ぶ。巨大な甘エビを昆布〆にしたものは昆布の香りもさながら海老の水分が抜けて甘さが更に引き立つ感がある。
もう少しアテ食べますかとのことだったので甘手カレイを造りでいただく。1日寝かして熟成させているけど身はコリコリで旨味も満点。縁側部分は特に旨味も濃くて大満足。
握りの扉は富山産の白海老から。独特の食感と甘味に小さく唸ってしまう。ほんのり温かいシャリは酒粕を材料とする赤酢を2種類ブレンドしたもので砂糖は使用していないと言っておられた。酸味と旨味ともに強めのすっきりとエッジの効いたコクのある味わいはとても特徴あるもの。赤酢の独特の癖と握ったときにどうしてもバラバラしてしまうのが難点。
小肌は1枚付けだけど食感が柔らか。これをしっかり〆てしまうとシャリと喧嘩をしてしまう。よく考えられている。ご主人見た目と異なり、かなり繊細で客にも気配りしまくりで客に常に向き合って仕事をされる。釣りの鯵も秀逸。お造りでいただいたアマテカレイを分厚くカットして握っていただくと味わいもまた異なる。剣先烏賊もシャリと相性が良かった。
好物の海老はこの日はこの時期に泉州で獲れる赤足海老。味噌も付いていてお酒も進みまくる。愛媛の石鎚のひやおろしをここから3合続けていただく。すっきりした辛口なんだけど旨味もしっかりと感じられる夏越しの銘酒。
北海道の粒貝と本マグロのトロ、腸の部分だけを軽く炙った北寄貝。小さな小鉢に入ったイクラは赤酢のシャリと相性抜群。
北海道のバフンウニも藻塩でいただく。こちらのお店のスペシャリティーの鰻はしっかりと蒸し煮されているんだけど鰻独特の濃厚な旨味もしっかりと残されていてパンチのある仕事となっている。甘エビがもう一回出てきて最後はハリイカでフィニッシュ。
派手さはないけど美味しいものをしっかりと目利きして最高の状態で出していただく。けれども講釈や自慢は一切しない。安心して寿司を楽しめる界隈では希有な店である。
食後はいつものように店の前にあるワッシーズダイニングスープルでワインをいただく。寿司のあとだったので軽めのお手頃ワインとこの店のシグニチャーメニューのトリュフのスクランブルエッグと玉ねぎのキッシュとチーズを所望して秋気澄む夜を楽しむ。
糸を繋げることもムスビ
人を繋げることもムスビ
時間が流れることもムスビ
ぜんぶ同じ言葉を使う・・・
君の名は・・・君は誰なんだ・・・
大阪市天王寺区四天王寺1-7-15
06-6772-0379
17:00~23:00
月曜定休