LA視察2016  6月②

今回のLA視察で最も行きたかったお店の「Eatse」。2015年にサンフランシスコでオープンしたハイテク無人ボウル専門店。今回は年末にロサンゼルスの最新ショッピングモールにできた2号店を訪問する。

超モダンなお店はモニターとオーダー用の機械5台(iPad)が並んでいて小型のアップルストアのような感じ。店内には椅子やテーブは全くない。がらんどうな感じ。店員はコンシェルジュと呼ばれるアシスタントの方が1名だけ。提供されるメニューはスーパーフードのキヌア(南米産の疑似穀物)を中心としたボウル(丼)にワカモレをはじめとする新鮮な野菜や豆類を組み合わせた健康的なもの。キヌアは12時間浸水させてえぐみを抜く。チキン、ビーフ、ポーク、フィッシュは使用しない。メニューにカロリーやタンパク質重量表示がされる。定番ボウルメニュー8種(温製・冷製)はすべて6ドル98セント。自分流のカスタマイズも可能。料理はすべて店内で手作りされている。料理は名店の料理長が監修。

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注文は最初にiPad にクレジットカードやデビットカードをスワイプする。客は各々のブースに立ち、タッチスクリーンに映し出されたメニューから、好きなものを選んで注文する。再訪時にユーザーごとの購入履歴や好み、カスタマイズの内容などを全て記憶し、次の来店時にはそれらを反映した提案などもおこなってくれるとのこと。いわゆるアマゾンのコンテキストアウェアネスである。レシートは環境に配慮のためメールアドレスに送られる。

待っている間に客の名前とデザインされた画像が透過型液晶画面に映し出される。まさにお店全体がアーティスティックなロボットのよう。
商品が出来るとスクリーンに名前が映し出されて、指定されたロッカーのようなところを軽くタッチして自分で取り出す仕組み。

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注文して会計が終わると2分足らずでボウルが提供される。裏方では必死のパッチの人海戦術で作っているらしい。しかしその様子が全く見えないのがとてもクール。出てきたボウルには名前が印刷されたラベルが貼られており客はカスタムメイド感を感じることが出来る。

新鮮な素材とバランスを考えた調理とソースの味付けは味の濃淡があり混ぜれば混ぜるほど美味しくいただける。看板メニューのブリトーボウルはワカモレやタコスの皮が入ったメキシカンなテイスト。ベントーボウルは照り焼き味で枝豆や大根などが入るアジアンテイスト。No worry curryはレッドカレー、焼いたジャガイモなどが入ったエスニックテイスト。それぞれに商品力と高い価値を感じることができる。

ドリンクは糖分ひかえめのシトラスやジンジャー、マンゴーグァバなどのソーダドリンクがりこれも店内で作られている。
全メニューを通してヘルシー感あふれるものになっているのに敬服。ワクワクする空間でおいしくて健康的で便利で洗練された食事に感動する。革新性と公共性を兼ね備えた新しい食事提供システムである。

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そのあとは同じショッピンモールにある「EMC」というかなりカッコいいシーフードの店でシャンパーニュとオイスターバーを楽しむ。米国で獲れる様々な産地の生ガキを食す。フロリダの蛤とロングアイランドとカナダの牡蠣の食べ比べをする。あまりにも味が濃くて美味しいのでカリフォルニア産のkumamotoも追加する。

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オーガニック系アンチエイジング・レストランの「トゥルーフードキッチン(True Food Kitchen)」も私どもの会社のベンチマーク店。「ヘルシー」「低カロリー」だけでなく「美味しい」という食本来の楽しみも健康とともに追求するスタイル。この日は胡瓜のモヒートとともにサラダをいただく。

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様々なオーガニックな生野菜と一緒にモヒートを楽しむ。
この辺りは中間世帯所得が10万ドル(約1,100万円)を超すマンハッタンビーチという立地なので富裕層相手となるレストランやショップが多い。
使用される食材は枝豆、シラタキ、椎茸、豆腐が多く使用される。看板料理の「レタスラップ」はシイタケ、豆腐、カシューナッツを味噌味で炒めたものとニンジンの千切りをレタスと一緒にいただく中華料理でよくありそうなものをひとひねりしたもの。

「大豆発酵食品テンペ入りハンバーガー」は肉の代用品としてよく使用される、大豆を発酵させて作るテンペが入る。

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Mendocino Farmsはグルメサンドイッチのお店。日本には全くない業態でメニューだけでなくオープンエアーの店舗もカッコいい。メニューは温かいサンドイッチと冷たいものに分かれていて季節限定のものなどもあり選ぶのに苦労する。すべてのサンドイッチの素材はオーガニックでかつ厳選されていてシンプルな素材同士の味が重なりあって深い味を醸し出す。サンドイッチの価格はほぼ10ドルくらい。かなりかっちょいいお店です。

その他料理 海外

LA視察2016  6月①

6月17日から1週間LAを訪問。7年くらい前から毎年2回くらい渡米して飲食店や小売店を定点観測。日本よりも10年進んでいる食のトレンドや流通の仕組みを学び自社の業態開発のヒントにする。今回は社員を同伴し新業態・新商品開発のアイデアを一緒に考える。

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LAを中心に南カリフォルニアに18店舗を展開するブッフェスタイルの惣菜カフェレストランの「lemonede」。ケールやビーツ、西洋カボチャなど季節ごとの種類豊富な新鮮な野菜を好きなだけ選んで盛りつけていただける。半分に切ったアボカドにフィッシュサラダ(サーモン)を詰め込んだもの(写真)や、赤味噌のビーフシチューなど大胆なシズル感溢れるディッシュも多い。

日本人にはないレシピのサラダがどれをみても美味しそうなのはファインダイニングのトップシェフが料理を手がけているからと聞き及ぶ。メインディッシュは注文を聞いてから作られる。注文方法はトレイをとってサラダを1 種類 (2.75 ドル)、2種類 (5.25 ドル)、3 種類 (7.50 ドル)、4 種類 (9.25 ドル) と何種類盛り付けてもらうかというボリュームをまず決めてからメインディシュやスープやデザートなど好みで選ぶようになっている。

店名にあるレモネードの種類も豊富で、キュウリ&ミント、スイカ&ローズマリー、パイナップル&コリアンダーなどのフレイバーが楽しめる。日本人には酸っぱすぎるかも知れない。こちらのお店は現在、南カリフォルニア大学やロサンゼルス現代美術館、ロサンゼルス国際空港などの施設にも入られていると聞く。

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ずっと前からベンチマークしているテンダーグリーンズはグルテンフリー・ビーガンフードなどを中心に現在25店鋪の展開。今回もいくつかの店鋪を訪問したがどこの店もお客で一杯。店鋪平均売り上げは3億5000万円でコンセプトは1930年代のビーチサイドのコテージ。
店の特徴は各店舗に一人ずつ配置されたエグゼクティブシェフで名だたる有名店の調理人をスカウトして採用しているらしい。メニューを絞り込むこととサーブをなくすことで最高の食材を使った高品質な料理を低価格(客単価15.5$)で提供出来る。

野菜がビックリするくらい美味しい。特にレタスが新鮮なのは毎朝OXNARD農園から取ったものを使用してるからだそう(当然オーガニック)でドレッシングも毎日各店舗で作ってるらしい。

太平洋で捕られたマグロやカジキなどの魚、放し飼いで育った鶏肉、数種類の穀物を食べて育ち、ホルモン・抗生物質を与えられていない数種類の牛肉などのメイン食材にサラダ、ガーリックトースト、マッシュポテトまたは焼き野菜が付く。店内で手作りされたデザートなどのオプションもある。先に会計をしたらトレーに乗った料理を自分で持って席へついて食すという仕組み。

店にあるパンフレットを訳してみると。
1.人と食の関係を考察、何を食べるかを意識することを信条とする
2.食材のほとんどが、Scarborough Farm で毎日収穫されたもの
3.上記の農場にない野菜はその近くのの小さな農場から購入する
4.穀物で育ち、ホルモン・抗生物質を与えられていない牛肉を使用
5.放し飼いで育った鶏を使用
6.太平洋で捕られたマグロを使用
7.その他、オリーブオイルやマスタード、ビネガー、チーズ、ワインなども厳選
8.パンやデザートは店内で毎日焼いたものを使用

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「LAWRY’S CARVERY」は大阪の西梅田にもある「ローリーズプライムリブ」のファストカジュアル業態。

ファストカジュアルというのはファストフードとファミリーレストランの価格と調理時間が中間のアメリカならではの新業態。現在アメリカの外食で一番伸びている業態でもある。 店内で食事を採れるものもあれば、持ち帰りも可能なのが特徴。また価格がファストフードより高いということもあり使っている素材に一定のこだわりがある。

こちらのお店はショッピングモールの中にありプライムリブのサンドウィッチが主力商品。肉汁とワインを煮詰めたソースと世界一のプライムリブの薄切りをパンで挟んだものが看板商品。

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サークジャパンは日本食ファストフードチェーンで最も成功している企業で全米のフードコートに約250店舗展開中。鶏肉の照り焼き丼が主力商品のお店。近年はベトナムにも大展開中と聞き及ぶ。

日本人には甘すぎるタレがアメリカ人の嗜好に合うらしく、醤油とライスと鶏肉と野菜のヘルシーな組み合わせが大受けらしい。中華料理店舗数No.1の「パンダエクスプレス」も味が甘過ぎて私の口には合わないがアメリカ人には大きく支持されている。

鶏以外では海老や牛肉も同じように鉄板で焼かれて一緒に焼いた野菜とともにドカ盛りでオーバーライスされる。店頭で日系人2人が焼きまくる。本社はカナダで経営者は香港から移住した中国人らしい。

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夜にはウォルマート、ターゲットなどの小売店を視察し、食品の比較対象をするためにナチュラル&オーガニック・スーパーマーケットの「Whole Foods Market」を観察する。

こちらのお店は現在431店舗で売上高1兆4000億円。自然食品のお店では世界一の規模。HPで調べるとホールフーズの理念は”Whole Foods, Whole People, Whole Planet(自然食品、健康な人々、健全な地球)らしい

1500坪以上の巨大なフロアにオーガニック食料品マーケット、アレルギーに優しい衣類、自然派化粧品など上質な生活に必要なものをすべて取り揃えている。

いつも進化しているのがPrepared Fare(デリカテツセン)コーナー。多彩なメニューがありピザをはじめとするイタリアン料理、スペイン料理、メキシカン料理、寿司、サンドイッチなど選ぶのに迷うほどの総菜が並ぶ様子は壮観である。どれもがレベルが高く日本のスーパーや総菜店とはレベルが全く異なる。

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好きなコーナーで、好きなものをセルフで箱に詰めたり売り場で注文した商品はキャッシャーで清算した後に店舗にあるテーブルで食することも出来る。
今回は数種類のローストビーフとサラダと温野菜とクラフトビールをもってこの日の夕食とするが好きなものを好きなだけいただけるので満足度はかなり高い。

ワシントンDCのシンクタンクではアメリカの18才以下の子供がいる家庭の40%は稼ぎ頭が女性と言われている。以前から言われる女性の社会進出ではなく家庭の中の大黒柱としての女性になりつつある。そういった一線で仕事をする時間のない女性でもこのような店があれば身体に健康的な総菜を買ってお店で食べたり家に持ち帰ったりすることで豊かな食生活を維持することが出来る。実際に店舗内で総菜を食べている夫婦らしき姿も多かった・・・・

レストラン 海外

堕天使かっき〜【大阪市 東天下茶屋】

地元の友人に紹介いただき表記の店を訪問。

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スパイスカレーの店なんだけど本職はミュージシャンで夜は阿倍野にあるお店、昼はこちらの王子町のスナックを間借りしての営業を続けられている。

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上町線の東天下茶屋駅徒歩5分。すし豊さんの東50mにある。近くまで来たらカレーの香りがするのですぐに判る。店の名前と同様に店構えもパンチがある。普通の人は多分入れない・・・と思いきや店を覗くと満席でした。お店は5席だけでカウンタ−の向こうでかっき〜と呼ばれるご主人がカレーを作る。

メニューは看板メニューの「鯛出汁と鶏キーマ2層カレー」と月替わりカレーの2種。この日の月替わりは「豚肉のキーマとクリームチーズ」。これに鯛の肝や鶏のせせり、ハートなどをトッピング出来るようになっている。

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この日は鯛出汁と鶏キーマ2層カレーをデフォルトでいただく。客層は地元の年配の方が中心。高齢者がスパイスカレーを食べている姿がどういうわけか嬉しい。出て来たカレーは真ん中にチキンスープと昆布の味がするかやくご飯に鶏そぼろがかけられてその周りに透明のしゃばしゃばしたカレールーがかかるという摩訶不思議なビジュアルにビックリ。

一口いただくと鯛の旨みがしっかりとスープに出ている。野菜の旨みも感じられるが甘ったるさは全くなくスパイスがじんわりと後から効いてくる。魚臭さは全く感じない。ドライタイプの鶏のキーマもあっさりしているなかに山椒のような辛さとカルダモンやコリアンダー、クロブの香りに包まれる。混ぜていただくと香りと味が渾然一体となり味に深みが出て食べ止まらなくなる。途中で酢橘を絞っていただくと味わいが変わって楽しい。ご飯やルーに入っている魚介の出汁と醤油がそれぞれの素材をクロスオーバーさせる触媒となっていると推察される。鯛出汁と鶏肉なので重たくもなく後味も軽いのでシニアの方でも美味しくいただけるのであろう。小麦粉も使用していないので膨満感が全くない。

今までのスパイスカレーのイメージが一変してしまうまさに目からうろこのカレーである。胡瓜にワサビとアボガドが添えられてメロンのような味がするピクルスやセンスのいい日本の作家の皿を使用しているこだわりも判る人にはたまらないと思う。時代の流れのスピードを感じさせるこちらのお店はいろいろな意味で業界のニュージェネレーションと確信する。(堕天使とは天界を追放され悪魔になった天使・・・・クールすぎるな。。)

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*店に行く途中で見かけた昆布屋の看板のコピー。夜中も営業すればいいのにな・・・

大阪市阿倍野区王子町2-17-32
06-6387-7771
11:30~15:00
定休:日・月

*今日から8日間LAで外食と流通の視察に行ってきます。しばらく日記お休みしますね。。帰ってきたらアメリカレポートいたします。

大阪市 東天下茶屋 カレーライス